第235章 決裂
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「――――さん……!ナナさん!!みんな、大丈夫か?!」
オニャンコポンさんの声で、目を開いた。
「よ、よかった……!どうしたんだ?!みんな急に意識を失ったみたいに……!」
慌てて操縦桿を握り直し、あらゆる計器に目をやる。
「……始祖の巨人の力を持つエレンに……、呼ばれて、いて……、すみません、どのくらい私たちは意識を失ってましたか…?」
オニャンコポンさんはあっけにとらて後ろのみんなの様子を伺った。
「いや、一瞬でした。けど……エレンは、なんて……?」
「――――話し合いは必要ない……、俺を止めたいなら、俺の息の根を止めろ、と……。」
「――――そんな……、っ……て、ナナさん、あなたそれ……!」
「!!」
ギクッとした。
息があがる。
私は咄嗟にオニャンコポンさんの方へ目を向けて小さく首を横に振った。
―――言わないで。
と、目で訴えかける。
オニャンコポンさんは少し動揺しつつ目線を一瞬リヴァイ兵士長の方へと向けたけれど……、私の意を汲んで、小さく頷いてくれた。
「どうやら……俺の予想は当たったようだ……。」
後ろの席から、ライナーの震えるような声が聞こえる。
エレンは最初から……、そのつもりだった。心から信じた仲間に、止めて欲しいと……、思っていたのか。
ううんきっとそれだけじゃない。
エレンの息の根を止めたその先には……パラディ島の悪魔が世界を救ったという構図がある。そうすればパラディ島に向けられる世界の目は……確かにこの先少し、変えていけるのかもしれない。
――――きっとエレンは、そこまで、考えている……。
「交渉の望みは潰えたらしい。……どうする?団長。」
リヴァイ兵士長がアルミンへ選択を迫る。
もうこれ以上、交渉に裂く時間も余裕も、エレンにはそのつもりもない。
――――殺し合うのか、私たちは。今度こそ……。