第235章 決裂
―――――――――――――――――――
エレンがまた……俺達を “道” に呼びやがった。
果てしなく夜空が広がるような場所。
いや、俺にはそう見えているが……他の奴らにはまた違った景色が見えているのかもしれない。そこにそびえ立つ巨大樹のような……ユミルの民を繋ぐ座標。その飛行艇の中で、オニャンコポン以外の全員がそこに呼ばれた。
「エレン!!聞いてくれ!!」
まだ全員が状況を飲み込み切れていない中で、いち早くアルミンがエレンとの対話を試みた。
「もう十分だ!!きっと……!これから何百年先誰もパラディ島に手を出せない!!それほどの恐怖と破壊の限りが尽くされた!!今なら不可侵条約を結んで終わりにできる!!これ以上誰も殺さなくていい!!島はもう大丈夫だ!!」
アルミンの叫びにも、エレンからはなんの応答もない。そこに……顔色の悪いナナが、続けて声を上げる。
「―――エレン、力になれなくてごめんなさい……!あなた一人に背負わせてごめんなさい……!これ以上……自分を傷付けないで……!」
ナナは生まれて初めて、人を殺した。
周りに見せずにいるが――――、その罪の意識はエレンの苦しみをより強く感じ取らせているのだろう。
「お願いエレン……、また、私たちの側に帰ってきて……。」
あんなに懐いていたナナの声にもエレンは反応をせず、俯いたナナの横でジャンが声を上げる。
「エレン!!後は俺達で何とかするから!!もう……俺達のために虐殺なんてやらなくていい!!」
「あぁ……そうだ!!エレン!!サシャのことでお前を憎んだけど……本当はお前だって悲しかったんだよな?!なのに……ちっともお前の立場になろうともしなかった!!」
「――――エレン。私は……あなたの罪を一緒に背負いたい。あなたと同じ罪が……私達にもある。だからもう……私達を遠ざけないで……。だからお願い……帰ってきて……。」