第235章 決裂
「確証はないが、ハンジはそう予想した。」
ジークを仕留めるのもそう簡単ではないと、兵長の隣からピークが言葉を挟む。
「それもジークの位置がわからないんじゃ……。」
「探すしかねぇだろあの骨の中から獣のクソ野郎を……」
エレンとの対話を実現するにせよ、ジークを仕留めるにせよ、どちらにせよあの巨大な骨の中から2人を探し出さなければいけないことに変わりはない。
リヴァイ兵長は、確固たる決意があるかのように強くその言葉を口にした。
「ジークは俺が仕留める。力を……貸してくれ。」
―――今までの兵長なら、その最後の一言は言わなかっただろう。自分の体と力がそれに見合うほど残っているのか分からない中で……なんとしてもそれを果たしたいという想いが強く、感じられた。
みんなは静かにその言葉を噛みしめて、ジャンが一言同意の言葉を告げた。
「兵長……もちろんです……この飛行艇を飛ばすために仲間を大勢殺しました。あれを……無意味な殺戮にするわけにはいきません……。すべては……地鳴らしを止めるため。俺は何だってやります。」
幾つもの死線を越えて、何人もその手で殺めて来た僕達は……その奪ってきた命に見合うほどの結果を残さなければならないんだと、みんなが理解していた。
そんな中、港で僕と一緒に……同じ104期の仲間をこの手で殺したコニーが、懺悔するように言葉を吐いた。
「俺は……サムエルとダズを撃ち殺して……知ってる顔をめちゃくちゃに斬り刻んだ……。裏切者って言われながら……世界を救うためだって言い聞かせて……なぁ……ライナー。」
「――――……。」
コニーは目に涙を溜めて、ライナーを見上げた。
その横でアーチさんもまた何か身に覚えがあったのか……小さく、俯いた。