第235章 決裂
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兵長とピーク、ナナさんがエレンの姿を見ていて助かった。飛行艇の床にエレンの今の状態を大体の絵として描いていく。
巨大な骨だけが、虫のように四つん這いで地を進むその姿はまるで人間とは言えず、ましてや巨人とも言えない風体だった。
これまでのセオリー通りに考えるなら、エレン本体はやはり頭部にいると考えられるけれど……エレンは戦鎚の巨人の力を得ていて、戦鎚は本体を別のところに隠したまま巨人を傀儡のように操れた。
レベリオでの経験から、必ずしもエレンが頭部にいる、とは限らないと言う結論に至った。
「……どこにいるかわからなくてもまとめて吹き飛ばすことはできる。あなたがレベリオ軍港を跡形もなく破壊したように……。あなたの超大型巨人なら。」
ピークのその言葉は正しい。
それが一番リスクが少なく確実な方法だ。
だけど僕はまだ諦めていない。
「確かに……それが一番有効なやり方だ。でもそれはエレンとの対話を尽くしてから……それでも他に……エレンを止める術が無い時の……最終手段だ。」
ハンジさんだって諦めなかった。
だから僕も……僕の思う最善を尽くしたい。そんな中、兵長がもう一つの可能性を打ち出してくれた。
「……最終手段があるに越したことはないが……エレンはジークを介して始祖の巨人を支配してんだろ?先にジークを殺しちまえば地鳴らしは止まるんじゃないのか?」
――――盲点だった。
確かに、その通りだ。
始祖の力の使い方の権限はエレンにあるけれど……エレン1人ではこの地鳴らしは発動できなかった。ジークを通さなければ。
「確かに……そうかもしれません……」