第234章 花弁②
「ハンジさん!!」
「っ団長……っ!!」
「ハンジ……さ……」
私たちは何も言えないまま、ただハンジさんが一人無数の巨人に立ち向かうその後ろ姿を、見つめていた。
ハンジさんの放った雷槍は先陣を切って進行してきていた巨人のうなじを捉えて、爆ぜた。
その巨体が崩れ落ちて……側にいた巨人を数体巻き込んで、大きな地響きと共に粉塵を巻き上げた。
「ナナさん!!操縦席に乗って!!穴が塞がったら燃料を入れてすぐに出す!!」
格納庫の奥、飛行艇の影からオニャンコポンさんが私を呼ぶ。
「っは、いっ……!」
慌てて格納庫へと走り出す。
息が、荒い。
どくんどくん、と鼓動がうるさい。
「――――………!」
ギクッ、とした。
私は思わずマントの胸元をギュッと寄せた。
ぐらぐらと視界が歪むのは、大地が悲鳴を上げるように揺れているからか……ハンジさんを失うことを受け入れられない私の精神面が作用して視界を揺るがせているのか、それとも――――……
「ちゃんと、ちゃんと送り届けるんだ……!」
私は涙を拭って、操縦席に座るオニャンコポンさんの横へと乗り込んだ。