第19章 不穏
彼女がリヴァイを愛しているのは目に見えてわかっていたし、リヴァイがまた彼女に抱く想いも、そこらの愛や恋という陳腐な言葉では表せないようなものだということも、わかっていた。
だが簡単に手に入るものよりも相手が強敵であればあるほど滾るのもまた、私の性だ。
―――――――私は、負ける戦はしない。
ナナは、まっすぐに私を見つめた。
その濃紺の瞳に吸い込まれそうになる。
その純粋な瞳は、どうやら自分を狙う悪だくみをしている男を映しているのだとは微塵も思っていないようだ。
「エルヴィン団長のせいでは、ありません………!絶対に………!」
さも自分のことのように、悔しそうに拳に力を込めて俯く。
「………ありがとう、ナナ。」
ナナは涙を浮かべたまま、ティーカップに口をつけた。それからしばらくまた他愛もない話をして、またナナは紅茶をすすった。
そしてふと、ある疑問を口にした。