第233章 花弁
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「――――リヴァイさん、お願いがあります。」
ナナと肌を合わせている最中、俺の頬に手をやったナナが、息を弾ませながら言った。
「なんだ。」
「――――痕、つけてほしい……。」
頬を染めながら、目線を少し外してナナが小さな小さな我儘を言った。
「痕?」
「……最近リヴァイさん、あまり噛み痕も、唇の痕もつけない、から……。」
抱く度に抑えられない衝動をナナの体に刻んでいた。
誰にも触れさせない、俺のものだという印を。
――――だが、俺のものでなくていい。ナナがエルヴィンの隣で笑っていられるならそれで……そう思えるように、痣をつけることをしなくなった。
以前は噛み痕や痣をつける度にナナは困った顔をしていたはずだが、それをなぜ今乞うのか不思議だった。
「なぜだ。」
「なぜ、って……。」
恥ずかしい事を問わないで欲しいと言う顔で眉を下げるナナが可愛くて、また両腕を引いて最奥を突くと、腰を反らせて小さく喘いだ。
はぁはぁと息を吐きながら、ナナが答える。
「……っ、痕が消える、までに……、また、こう、したいから……。」
「…………。」
「………そのための、おまじない……。」
――――いちいち言うことがクソ可愛いなお前は。
本気で俺を殺す気か?
それでなくても普通の奴なら死んでるぐらいの心臓への負担だ。そこにまた、心臓を苦しく締め上げるようなことを言いやがる。