第232章 愛惜 ※
「……もう、何をやってるんですか。怪我に障るからどいてくださ――――」
軽くリヴァイさんの胸を押し返してみるけど、むしろその体は距離を詰めて来て、唇を塞がれた。
「………ん。」
何度も角度を変えて、舌を割り入れて、いやらしく唇が舌を吸い上げて、唾液が絡む水音がする。
「~~~ん、ふぅ、っ……!」
抗議の意を込めて強めに胸を叩くと、リヴァイさんはやっと唇を放してくれた。
「なっ、に……するんですか……。」
「てめぇがぬるいキスなんかするからだろうが。せっかくの密室だ。――――最期になるかもしれねぇお前を存分に補充しておかねぇと。」
最期。
その言葉は今までも何度も交わした言葉だけれど、今はその言葉を聞きたくなかった。だって……あまりにその色が濃くて……じわじわと、本当にその時が私達に忍び寄って来てしまう気がしたから。
リヴァイさんも何か良くない予感でもあったのだろう。
また器用に片手で更に私のブラウスのボタンを外しながら、とんでもないことを言う。
「――――抱かせろ、ナナ。」
「えっ。」
「いや違うな。抱く。」
私の言葉を待たずに、開いたブラウスの中に手を差しこんで、下着をずり下げて胸に舌を這わせる。しばらくぶりのその感触に、ぶる、と身を悶えさせてしまう。
けれどされるがままではダメだ、リヴァイさんは重傷なのに……。
傷に障らないように気をつけながら、リヴァイさんの肩を押しのける。
「――――っ、ダメです……!」
「あ?」
「満身創痍で何を言ってるんですか……!」
「俺を動かしたくないなら、お前が動けばいい話だ。」
「そういう事じゃないです……!そもそも、今することじゃな……っ……!」
「――――欲しいんだ、たまらなく。」
「…………。」
「――――ナナ……。」