第231章 体温
「――――癒せ、俺を。責任を持ってな。」
「どう、しましょうか?」
「――――眠りたい。体温、貸せ……。」
「――――仰せのままに。」
私が椅子から立ち上がって、どう側に寄ろうかと考えていると、チラリとリヴァイさんが扉の方へと目をやった。
「鍵、かけとけ。」
「………何する気ですか……酷い怪我のくせに……。」
「………なんもしねぇよ。」
「…………。」
じゃあなぜ鍵をかける必要があるのか……と、じとっとした目で彼を見つめてみても、顎先で鍵を閉めろ、と示すから……それに従って、扉に鍵をかけた。
……なんとなく、鍵をかけたとみんなに知られたくなくて、そっと……音をなるべくたてずに。
もう一度側に寄ってベッドに腰をかけると、彼の手が私の頬を撫でてから……首筋を滑って、シャツのボタンをぷち、と外した。
「………あっ、こら……!」
「………なんもしねぇって言ってんだろ。」
「してます……すでに……!」
「――――お前の匂いが一番落ち着く。鎮痛剤だと思って、大人しく役に立て。」
そう言うと私の腕を強く引いてベッドに引き倒すと、はだけたシャツの隙間に覗く胸に顔を埋めて、ふぅ、と息を吐きながら腰に回した腕で私を強く強く抱いた。
「………育った胸も、使い道があって悪くねぇな。」
「………今の発言は、元々は小さい胸が好きだったという意味に聞こえますよ。やっぱりなんですね。」
「……………。」
「……あっ……!?」
バツが悪くなるとこの人はすぐに噛む……。胸の膨らみに、小さく歯形と……同じ場所に赤い痕がついた。
「――――回復したら、もっと色んな使い道を教えてやる……。」
「………??はい………??」
リヴァイさんの言う意味がイマイチよくわからなくて曖昧に返事をすると、リヴァイさんは本当に落ち着いたように、安らかな寝顔ですぅすぅと寝息を立て始めた。