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【進撃の巨人】片翼のきみと

第230章 狼煙




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フードを深く被って、馬を駆る。

心臓が大きく鳴るのは、緊張しているからか、興奮しているからか……それとも……。

いや、良くないことは考えない。



リヴァイ兵士長が私を行かせてくれた。

上手くやれる、可能性があるから行かせた。

本当に無駄死にになる時には、あの人は何をどうしてでもきっと私を止めるから。

私は大きく息をもう一度吸い込んで、駆ける。





「人を、傷付けるんだ。私は、今から……。」





それでも、戦って死なせるよりはましでしょう?と……、以前の私からは想像もつかなかったことを頭の中で呟く。





「駅で止まった……!今のうちに、進路に回り込んで……、ポイントがあるとすれば、あそこ……。」






山の斜面に沿うように、急カーブを描く箇所。カーブに差し掛かると遠心力が働いて、脱輪の可能性が上がる。その線路に数か所車輪が乗り上がりやすくなるような細工をすれば……!

そう、思い描いていると……、イェーガー派が着用する最新式の立体機動装置に適応した黒い戦闘服ではなく、懐かしい自由の翼を背に負った人物を見かけた。





「――――あれは……!」





何年ぶりだろうか。

調査兵団団長を退かれて訓練兵団の教官になって静かに兵士を育てる生き方を選んだあなたが、こうして人類の危機にはやはり最前線に出て来てしまう。



――――調査兵団の誇りを今もその背中に背負っているから……ですね?






「キース教官!!」



「!!――――お前は……!」





キース教官は驚いた顔で私を見た。

その手には、かなりの量の火薬が握られている。





「……まさか、教官………!」



「増援が来てはマズいのだろう?エレン・イェーガーを止める覚悟でお前達は……アニ・レオンハートまで連れ出し、みっともなくても足掻こうというのだろう。」





その眼光は衰えていない。

とても強く鋭い眼差しだ。だけどその目の奥は、私たちの行動を理解し、後押しをしようとしてくれていることがわかる。


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