第19章 不穏
「ナナ!大丈夫?!」
難なく地上に下ろされると、リンファが駆け寄ってきてくれた。
「――――装備の点検を怠るなんて、素人のすることだ。ナナ、どうなってんだ。」
「………申し訳……ありません………。」
「兵士長!確かに、私たちは一緒に昨日点検をして倉庫に片付けたんです……!なのに……どうして……?」
「……ちっ………、だとしても、使う前に気付け。壁外だったら、お前は死んでた。」
「はい、確かに……その通りです。以後必ず使用前の点検も徹底します。」
「わかりゃいい。」
リヴァイ兵士長は、フイッと顔を背けてそのまま行ってしまった。リンファは少し納得いかないような表情でそれを見送って私の方に向き直る。
「なんで………?私も見たよ、サッシュに教わったとおりの点検を、あんたは欠かさず毎日やってるのに………!」
「うん………でも、使用前にも点検しなくちゃいけないのは、確かに当たり前だね。」
「倉庫に片付けてから朝になるまでに………細工をした奴が、いるかもしれない。」
「―――――――。」
リンファの予感は、たいてい当たる。
私も同じような考えが頭をよぎった。
「ん、でも証拠もないし。とりあえずこれじゃ訓練続けられないから、修理に出す手配をしてくるね。」
「あ、ああ………気を付けろよ!」
あの嫌な視線絡みだろうか………これから何か更に起こるかもしれない。気を引き締めておかないと………私は姿勢を正した。