第19章 不穏
翌朝、眠たい目をこすりながら、昨晩ハンジさんと仕上げた原稿を再度チェックしていると、ふと冷たい視線を感じた。
何だろう、ゾクリとする……すごく嫌な感じだ。
私は辺りを見回して警戒しつつ、朝の訓練への向かった。
私も今度から教える立場になる、いっそう身を引き締めて訓練に当たらなくては、と思いながら木々に向かってアンカーを刺す。
身体全体に筋肉が付いてきたためか、移動中でもバランスを崩すことも無くなり、リンファ仕込みのアンカーを細かく差しなおして軌道を複雑にとることもできるようになってきた。
身体も軽い、調子良く木々の間をすり抜けようとしたその時―――――――
ガキィンッ………
何かの金属音と共に、私はバランスを崩した。
目をやると、立体機動装置とハーネスの固定部分が、破損していた。
「―――――えっ……?!」
ダメだ、体勢を立て直せない。
この勢いのまま、ぶつかる―――――――そう覚悟してギュッと目を閉じたが、激突の衝撃どころか、ふわりと誰かに受け止められた。
「―――――――なに、やってる………っ……!」
「……リヴァイ……兵士長………。」
私を受け止めてくれたリヴァイ兵士長のその表情は、少しの焦りが見て取れた。