第229章 結託⑤
「ねぇ教えてよアルミン。私を追い詰めた時みたいに、作戦を教えて。」
「―――………。」
答えられないアルミンの代わりにこの現状を冷静に見たピークさんは辛い選択を提示した。
「そんな作戦はない。一瞬で片がつくか……しくじって飛行艇を失うか。」
その言葉の意味するところは、私たちの行く手を阻むイェーガー派を殲滅するということで……それに納得できないコニーは悲痛な面持ちで声を大きくした。
「……待てよ……俺達は人を助けるためにここにいるんだぞ?!なのに……まずやることが島の連中の皆殺しかよ!!どうしてこうなるんだよ!!」
誰も殺さない、それはおそらく無理だ……私にだってわかる。相手は完全武装してこっちを殺しに来る。そんな相手に傷も負わさず、何かを守ってやり過ごせるはずがない。
――――なら、意表をつく、しか……。
そんな私の頭に浮かんだのは、異常なまでに私に執着するフロックさんを、私なら動かせるのかもしれないということだった。
「――――例えば、だけど……。」
「ナナさん……?」
思考しながら大雑把な案を述べていく。
アルミンはそんな私の言葉を待つようにじっと私をみつめている。
「イェーガー派のトップは今間違いなくフロックさんです。そしてフロックさんの私への執着は、異常と言っていい。誰よりも、 “私” がエレンを止めることを嫌がる。それを……なんとか利用できないかな……。」
「ナナ……!」
ミカサが驚いた顔で私に何かを言おうとしたけれど、エレンを止めるためにミカサだって手段は選んでられないのだろう。
その先の言葉を飲み込んだことを見届けて、話を続ける。