第229章 結託⑤
「許さなくていい。全部受け入れなくていいんだよ、きっと。私達、神様じゃないもの。」
「…………。」
「だけどね、相手を理解しようとするかしないかで………きっと随分、違う気がする。」
「――――ナナさんって……。」
「ん?」
何か言いかけたジャンに、その先を促す目線を向ける。
「母ちゃんみたいっすね……。」
「えっ。」
私がその思わぬ言葉に目を丸くしたからか、ジャンは慌てふためいて言い訳を凄い勢いで並べた。
「あ、すいません老けてるとかじゃなくって!いやむしろ綺麗ですし、あのっ……、何ていうか包容力っていうか、なんか……安心感っていうか……癒しっていうか……。」
「嬉しい!!」
「は?」
「私、お母さんに見える?!」
「えっ、いや、外見としてはむしろ少女みたいに見えますけど、話してると……母ちゃんみたいだなって……。」
「うふふ。いい子ね、ジャン坊。」
「?!?!なんでその呼び方……っ!」
「??だってエレンが言ってた。」
「―――俺にはあのクソ死に急ぎ野郎を止める理由がまた一つ増えましたよ……!絶対殴ってやる……!!」
ジャンが顔を真っ赤にしてわなわな震えて怒っているのがおかしくて、背伸びをしてジャンの頭を撫でてみる。
ジャンはバツが悪そうな顔をして、でも少しだけ笑ってくれた。