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【進撃の巨人】片翼のきみと

第229章 結託⑤




知りたかった。

アニが守りたいものを。



あの女型の巨人の印象は強烈で……なんの躊躇もなく兵士を、人々を踏みつぶした。

それを、その大きな身体を突き動かしたものはなんなのか。

何を守りたかったのか。

私の言葉が余韻もなく消え入ってもアニは口を開かず、眠ったのかなと思った矢先、小さく言葉が紡がれた。





「――――格闘術に長けた……私を本当の娘だと、思ってる……人。」



「………そっか。」



「…………。」



「間に合わせようね、止めよう。エレンを……なんとしても。」



「………はい……。」





アニの言葉は小さく弱々しかった。



―――同じだ。

守りたいものがあれば、刃を振るう。



不思議と彼女を憎むなんて感情は出てこなくて、代わりに胸の奥がジリ、と痛んだ。私はもしジークさんがここにいたら、ジャンのように……彼に殴りかかっていたかもしれない。

でも思い直す。

ジークさんが守りたいものを、私はまだ知らない。

いつか知れたら、許せるのかな。

それとも、知っても憎悪は消えることはないのかな。

私からエルヴィンを……共に生きると決めた愛する人を、奪った人を。





そして……ジークさんを殺すためだけに身体に鞭を打とうとしているあなたも、ジークさんのそれを知れたら……少しは楽になりますか?





それとも『関係ねぇ』って言って、やはりエルヴィンとの約束を違わず遂行するのかな。

ねぇ、リヴァイ兵士長。





荷台で眠るリヴァイ兵士長の横に座って、いつでも痛みが襲ってきた時に対処できるようにする。

夕食の時間にもよく眠っていたから……次に目を覚ましたら、夕食をとってもらいたいと思いながら、長い伏せられた睫毛が美しい寝顔を見つめていた。



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