第228章 結託④
「――――マルコは、最期に何か言ってなかったか。」
ジャンの問に、ライナーが苦しそうに答える。
「『俺達はまだ話し合ってない』って……。」
そこにいた全員が、その言葉にハッとした。
「そうだ。そうだよ……俺達はロクに話し合ってない。だから……どっちかが死ぬまで殺し合うみてぇなことになっちまったんじゃねぇのか?もし……最初から話し合っていれば……ここまでの殺し合いには……。」
悔やむように俯くジャンの深い負の感情を濯ぐように、ハンジさんの前向きな言葉がかけられる。
「今からでも遅くないよ。これだけ鎬を削り合った者同士が少なくとも……今は殺し合わずに言葉を交わしてる。――――誰が想像できただろうか?私たちが火を囲んで食事するなんて。」
ジャンの心を少し救ったかもしれないハンジさんの言葉は……マルコを殺す判断をした彼の罪悪感を増幅させたのか、ライナーは怯え、震え、俯きながらひたすらに……ジャンに向かって謝罪の言葉を述べた。
「――――もういいって。」
「――――すまない……。」
何度目かのやりとりの後、押さえていた感情が爆発したかのようにジャンが立ちあがり、ライナーを殴り倒した。
「ジャン?!」
殴り倒して馬乗りになり、血しぶきが飛ぶほど何度何度も渾身の力でライナーの顔面を殴打した。
あまりの様子にアルミンとコニーが背中から腕を押さえつけて仲裁に入る。
「おい?!」
「やめろ、ジャン!!」