第228章 結託④
「――――そしてあぁ、そうだ。偉そうに言うあなた、車力の巨人は――――……ジークの側でよく勤めて、調査兵団を蹂躙したあの戦いでも活躍したとか。――――まぁそのおかげで……ここにいるナナさんが将来を誓ったエルヴィン・スミス元団長は無残に腹を裂かれて死に至った、とのことですが。」
「――――………。」
こういうやり口は、イェレナさんはジークさんととても似ている。
でも乱れない。
こんなことで。
黙った私を見て、シチューの入った器を豪快に傾けたのはジャンだ。
「ナナさん、美味しいです。おかわりありますか?」
「うん、まだまだあるよ。沢山食べてね。」
差し出された器にシチューをたくさん入れる。
――――ジャンのこういうところが本当に、有り難いし素敵だなと思う。
「ありがとうイェレナ。お互いの蟠りをここで打ち明けて心を整理させようとしてくれてるんだよな?気を遣わせちまったな。」
その言葉にイェレナさんの目が一瞬、攻撃的な鈍色に光った。
「………あー忘れてた。何でしたっけ?以前教えてもらったあなたの親友の名前は……そうだ……マルコだ。」
その一言に、ジャンとライナーとアニの顔が凍りついた。
――――過去に一体、何があったの?
「もうアニから聞いたんですか?マルコの死の真相を。」
アニとライナー、ベルトルトが訓練兵としてこの島に潜入していた頃の、104期の皆が訓練兵の頃から一緒に切磋琢磨してきたマルコ。
その彼は――――、アニ達の秘密の会話を聞いてしまったから、アニとライナーによって、直接的にではないにしろ―――――殺されたと。
ライナーとアニから語られたその真実は…もう何年も前の事だというのにひどく私たちの内側をただれさせた。