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【進撃の巨人】片翼のきみと

第228章 結託④




食事をしながら、今後のとるべき策を話し合った。

港にあるアズマビト家の飛行艇を使ってエレンに近付き、説得を試みるとハンジさんは話す。だけれど、問題はエレンの行先だ。もう随分時間が経っていて……私たちにはエレンの所在地が掴めない。

燃料に限りがある以上闇雲に探せない。

そうか、だからだ。

イェレナさんをマガト元帥が生きて引き渡すように言ったのは。確かに彼女なら、エレンの行先に思い当たる節があるかもしれない。けれど食事にも手をつけず、昏い瞳を隠すように目を伏せたままイェレナさんはずっと黙っている。

反抗的な態度のイェレナさんに誰よりも敵意を滲ませて物申したのは、車力の巨人の姿のままのピークさんだった。





『レベリオではあなたにまんまとやられたからね……イェレナ。あなたの過去を洗いざらい調べて驚いた。』





ピークさんの口から語られたそれは、イェレナさんは元々自身をマーレに併合された小国の生まれであり、マーレに復讐することを掲げていたが本当は――――、このイェレナさんもまたマーレ人であること、マーレ人でありながらジークに魅せられ、嘘をついてマーレに復讐をするという筋書きを創り上げたという驚きのものだった。

それを突き付けられてなお、イェレナさんはいつもの調子を崩さない。





「――――一体私とあなた達の何が違うと言うのでしょう。世界を救う。これ以上に人を惹きつける甘美な言葉があるでしょうか?何億もの命を救うという崇高な胸の高鳴りに身を任せ、これまでの遺恨などなきもののように喉へと流し込む。それが今私の目に映るあなた方の姿です。――――少し思い出してみませんか?」





イェレナさんはここに集う者一人一人の業を、わざわざ嫌悪感を抱くような言い方で――――、蒸し返した。

誰も何も反論できない。



ライナーがあの日壁を壊し、この島の人々を死に追いやったことも。

アニが巨大樹の森やストヘス区で、沢山の兵士や住民を死なせたことも。

調査兵団がマーレを奇襲し、罪のない民間人の命をも奪ったことも。


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