第228章 結託④
俯いたミカサの雰囲気に、思わずシチューを混ぜていた手が止まった。案の定ミカサは戦闘を受けて立とうという姿勢で、その両手の柄にすぐさま刃を装着できるように構えた。
「つまり私を殺すべきだと?」
「――――ミカサ!!!」
私が制そうと声を発したと同時に、アニは指輪に仕込んでいる鈎針を出した。――――いつでも巨人化して受けて立とうというその空気に、ハンジさんもマガト元帥も声を荒げた。
「えぇ…?!」
「レオンハート!!」
――――けれど彼女たちも随分大人になったようだ。
アニがミカサを窘めるように言葉を続けた。
「あんたの気持ちはよくわかる。私もエレンを止めたい理由は一つ。マーレにいる父親を殺されたくないから。だからあんたの助けがいる。説得してエレンを止められるのならそれでいい。少なくともその時まで私たちは争うべきじゃない。」
「―――――わかった。」
息を飲むほどの張り詰めた空気がようやく溶けて、今まで感じなかったシチューの香しい香りをようやく認識した。
はぁ、とため息をつきながら空気を変えようと、食事を促す。
「ハンジさん、シチューできましたね。みんなもお腹減っているでしょう?食べましょう。」
「そうだね!ほら!!できたよ!!みんな、食べよ!!」