第228章 結託④
「正義だと?今……正義を語ったのか……?あんたが?」
「――――ジャン……。」
止めるべきか、いや……、お互いの主張を押し込んでこのまま、エレンを止めるための作戦が上手くいくはずない。
とことん吐き出して、少しでも蟠りが解ければその方が良いのかと、いつもなら止めに入ることを私はしなかった。
「あんたらが送り続けてきた巨人に抵抗してきた俺達が悪だったのか?!いいか?!俺達が必死に戦ったのは巨人に食い殺されたくなかったからだ!!それが悪魔の所業だって言いてぇのかよおっさん!!」
「あぁ、お前達は悪魔に見える。パラディ島脅威論は現実となり今や世界は滅びつつある。お前らが必死に戦った結果がこれだ……違うか?」
マガト元帥の言葉に、104期の面々の表情に怒りの色が滲み始める。
私だってそうだ。
私たちはただ生きたくて足掻いただけだ。
それを悪魔と罵るのなら――――……人を巨人に変えて兵器として使うあなた方はなんなのだと、私も問いたい。
「そもそも壁破られて目の前で母親が食い殺されていなきゃなぁ……!!エレンはこんなことしてねぇよ!!地鳴らしまで追い詰めたのはお前らだろうが?!」
「おい、今更歴史の話をしようっていうのか?先にマーレを苦しめ蹂躙したのはエルディアだってことぐらいは理解しているんだろうな?」
「二千年も前のことでいつまで被害者面してやがる?!」
「まったく幼少期のガキと話しているようだ。そのような戯言が実在する二千年の歴史に通用すると思っているのか?」
熱くなる両者を黙らせたのは、ハンジさんだった。
「あぁ……やめよう。見たわけでもない二千年前のいざこざ話なんて退屈だ。―――ジャン。元帥殿は私達の存在に困惑しておられるのだよ。この島を根絶やしにしようとした世界の人々を楽園を捨ててまで助けようとする奇怪な悪魔の存在に。」