第228章 結託④
「……あれ、兵長……?」
「あ、はい……重傷で……。」
「ちょっとだけでも、顔が見たい。」
あまり心を開いていないように見えていたアーチさんが、リヴァイ兵士長の顔が見たいと言う、その言葉に驚いた。
いつの間に……そんな関係性を築いていたのだろう。
「はい、もちろん。」
肩を支えながら、リヴァイ兵士長の眠る荷台の側に寄ると、アーチさんは眉に皺を寄せてひどく苦しそうな表情を見せた。
「――――俺が、一緒に……いたら……!」
「……………。」
あぁそうか、彼は……リヴァイ兵士長を守りたかったのか。やっぱりそんなところまで……サッシュさんによく似ている。
私はとても苦しくて、気の利いた言葉ひとつ、言えなかった。
眠る兵士長を起こすことはなく、アーチさんは素直に診察させてくれた。決して軽傷ではないけど……さすが、筋肉の質や骨格自体がとても丈夫で普通の人よりも怪我をうまく庇った動きが自ずとできるのだろう。やっぱり体の作りまでサッシュさんととても似ていて、兄弟なんだな、と思う。
でもこれ以上無茶をすることは良くない。
駄目元で、私はアーチさんにこれからどうするつもりかと尋ねた。
「――――アーチさん、まだ、戦うつもりですか……?」
「当たり前です。」
有無を言わさぬ即答に、意志の強さを感じる。腕の傷口に包帯を巻きながら、心の内を少し、話した。
「アーチさんが一緒に戦ってくれるのは本当に心強いです。けど……軽い怪我じゃないです……。これ以上、傷ついて欲しくないと……私は、思っています……。」
私の言葉に、アーチさんは顔を上げた。
切れ長の目は、サッシュさんに本当によく似ている。僅かに幼さを残す彼の目が、私の視線を捕らえる。