第227章 結託③
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八つ当たりも甚だしい上に、冷静に話すことさえままならず、大声を出して感情をむき出しにした。
――――情けないよね。
でも、それでも……彼らの力が必要だ。
でなければ、エレンを止められない。
例えもう私が彼らの長ではないとしても、それでも――――……私には私の背負った役割を果たす義務がある。
「ジャンの言う通り、エレンがこうなったのは……私の不甲斐ない理想論のせいだ。」
情けないついでに、巨大樹の森で……一瞬過った卑怯な心の内さえも吐露する。
――――リヴァイとナナと3人で……世界の存亡など知らぬと耳を塞いで目を閉じて、安らかにただ日々を過ごす。そんな卑怯な妄想を。
「――――それに……こんなことを吠えておいて……逃げようとしていたんだよ私は……すべてを捨てて……すべて忘れて生きようって………。……でも、私は……まだ調査兵団の14代団長だ。」
エルヴィンに託されたそれは、重くて……重くて、重くて。
リヴァイやナナがいなければ、何度押し潰されていただろう。
あの意地悪な蒼い瞳が、脳裏に蘇る。
私の世界を広げたあの男が見る景色は、さぞ煌めいて眩しいものだろうと……もう随分前の、幼かった頃の自分はそう思っていた。
――――だけど現実は。
血しぶきの色。
人や人の暮らし、文化が燃えて立ち上る黒煙。
無惨に打ち砕かれる、人々のささやかで平穏な毎日。
そんなものの中に一際色濃く心の内側にこびりついてジリジリとこの身を焼くような――――
阿鼻叫喚の中の凄惨な仲間の死にゆく姿。
それらの責任を……捧げた心臓の行末を……答えを導かなければ、いけないんだ。
「人類の自由のために心臓を捧げた……仲間が見ている……気がする。」