第227章 結託③
「アーチさんは……なんでそんなに、ナナさんのこと信じてるんですか?」
「………ん……?」
アーチさんはそう言われれば、という間を持って、少し考えているようだった。自分でも気づいていなかったのか、なぜ、を考えている。
そしてふっと小さく笑みを零した。
「――――兄ちゃんとリンファが、大事にしてた人だから。」
「――――………。」
「………自分の命を狙ってた俺に、『調査兵団へようこそ』って言った……。馬鹿な奴だって思ったけど……、苦手、だけど……。あの人は確かに強くて……、誰より調査兵団を愛してて……、決して簡単に諦めたりしないって思うから……。」
アーチさんは照れたように薄く笑みを零しながら言った。
――――『大事にしてた』……その過去形になった言葉が、辛い。――――サッシュ分隊長も……死んだんだな、本当に。
「―――俺たちこれから……どうすりゃ、いいんですかね……。」
「………兵長がそんなに簡単に死んだなんて、思わない。きっとまたエレンを止めるために何か行動を起こす。俺は……それに最後まで付き合う。」
「………でもっ………!」
俺が声を荒げたその瞬間、廃墟の扉がキィ、と鳴った。
俺もアーチさんも咄嗟に身構える。
――――敵か?
マーレの残党なら……戦うか……?
そう、思ったそこにいたのは……まさかの人物だった。
「ジャン!!!アーチ!!!よく……生きていてくれた……!!!」
俺達の長、ハンジさんは確かに月明かりを背にそこに立っていて……、嬉しそうな顔を向けた。