第227章 結託③
「ジャン……悪い、手間かけさせた………。」
「いえ……、あの時あなたがいてくれてよかったです。」
「――――兵長、に……なにかあったのか……?状況を知ってるなら教えてくれ。」
アーチさんは横たわっていた体を起こした。
さすが訓練兵団ではトップの成績で……憲兵から更に中央に抜かれただけのことはある。とにかく鍛えぬかれた体だからこそ、怪我をしていてもその場所を上手く庇って戦っていたのか、そこまでの再起不能状態ではなさそうだ。
……とは言っても……、骨の1本や2本くらいは折れていそうだけどな……。
「……兵長も、ハンジさんも……死んだ、って………。」
「――――嘘だ……。」
「フロックが、そう……言ってました……。」
「――――ナナさんは?」
「っ………ナナ、さんは………。」
昼間フロックに兵長とハンジさんの安否を問いかけた。そしてナナさんのことも。そこでフロックからの返答に俺とミカサは身震いして、全身の血の気が引いた。
『あの女は、男2人に嬲られて既に廃人状態だ。今呼びに行かせてる。これから、義勇兵の処刑を目の前で見せる。――――なんなら命を絶つそれを、ナナさんにやらせてもいい。それでようやく思い知るだろう。これこそが……あの悪魔たちが齎した未来だって。』
語られたそれはナナさんへの異常なまでの執着と……冷え切った目に恐怖すら感じた。
―――それに何だって……?
嬲った……?
廃人……?あんなに……あんなに兵長のことを愛してたあの人に、そんな惨い……ことを………。