第227章 結託③
「……まだ、役に……立ててますか……私……。」
「――――当たり前だ。」
「…………嬉しいです……。」
「――――俺は、もう少し……眠る。」
「はい、では包帯を巻きなおすので、少しだけ……触りますね。」
ナナが優しく、慈しむようにそっと傷口に布を当てて包帯を巻いていく。包帯を解かれて俺の右目には何も視界を遮るものはないはずなのに、俺の右目はナナを映すことができない。ごくわずかに……光の玉のようなものが見えるだけだ。
「……見えない、ですか……?右目……。」
俺が右目の視力を試すように視線を動かしたからか、ナナが気付いて悲しそうに言う。
「……ああ。」
「しばらくは……距離感が掴みにくいと思うので、動けるようになっても無理は駄目です……。」
「――――わかった、とだけ一応言っておこう。」
無理を押してでも戦わなきゃならねぇ日はすぐそこだ。
それを分かっているからこそ、ナナは辛そうに一度俯いてからまた俺の顔の包帯を巻いた。やがて封印するように右目は包帯でまた覆われて……薬の作用か、強制的に眠りに落とされるような感覚に飲まれていった。