第19章 不穏
「これでも省いたんだよ?!だってさぁ、弱点とか行動傾向とかさ、そんなことだけじゃ、彼らの素晴らしさは伝わらないじゃん?!」
「だめです。やり直しです。せめて三分の一……60ページに抑えてください。お気持ちはお察ししますが……素晴らしさを伝えるのは諦めて頂かないと……。」
「えええぇぇぇぇーーーーーーー!!」
ハンジさんの気持ちはわからなくもない。
が、3時間でどうやって200ページのテキスト内容を教えるというのだろうか………。
ハンジさんの巨人への愛の深さを再認識すると同時に、この様子をリヴァイ兵士長が見てたら、きっとすごく怒るだろうなと想像すると自然と笑みがこぼれる。
「…………わかったよぉぉ………。それはそうと。」
「??」
「最近のナナは、驚くほどの艶やかな肌と溢れんばかりの輝きじゃないか。」
「??」
ハンジさんは私にずい、と距離を詰めると、私の腰を抱き寄せて言った。
「………愛されてる、がにじみ出てる。」
「!!ハンジさ、近いです……!」
私は上半身をのけぞりながらハンジさんから逃れようとする。
すると大きな掌が、ハンジさんの頭をぐいっと引っ張り、私をハンジさんから引き離した。