第19章 不穏
「ナナ、立体機動装置、昨日納品されたぜ。115……だったか。これはどこに?」
「エルドさん!納品確認ありがとうございます。そうですね……確か訓練カリキュラムだと、巨人の生態についての座学と立体機動装置についての座学を最初に行うはずなので…兵舎の中の倉庫に一度運び込みたいです。」
「了解。任せとけ。」
「ありがとうございます!助かります…!」
ますます忙しさが増していく。でもそれも悪くなかった。この作戦に対して渦巻く不安を、少しでも忘れていられるから。
「あぁナナーーーー!巨人学のテキストの原稿がようやくできたよーーーーー!褒めてよぉぉぉーーーー!!」
廊下の遠くからでもすぐにわかるほど大きな声で私を呼ぶのは、ハンジさんだ。
巨人についての座学も、膨大な内容の中からかいつまんで3時間で要点を話すカリキュラムになっている。ハンジさんのもつ膨大な資料の中から、配布するものをまとめておくというのが、エルヴィン団長からの指示だ。
私はその原稿を受け取り、印刷業者に印刷を頼む……はずだったのだが。
「お疲れさまでした!お忙しい中本当に大変な……………あれ、これ………もう、印刷回して下さったの……ですか?」
「ううん?これ、原稿だよ?」
「…………ゆうに200ページくらいありませんか?これ。」