第226章 結託②
「ハンジさんと兵長は殺されたかもしれないし!!フロック達が僕らにも銃口を向けるかもしれない!!それに……!!アニが復活したかもしれない!!もう兵団の指揮系統も機能してない!!無秩序だ!!そうだ……ヒストリアも危険になるかもしれない……義勇兵やアズマビト、ニコロの立場も危ういことになる………。」
アルミンの中には怒りや諦め、焦燥、絶望という苦しみを齎される種類の感情の殆どをこの時に表情として見せたのではないかと言うほど、苦しそうに声を荒げた。
「だから!!もうどうしようもないエレンのことなんか考える余裕はないよ!!そのくらいわかるだろ?!」
その言葉を私に向けた途端、アルミンは『言ってしまった』と分かりやすく顔に出した。
「ごめん……。」
それしか、言えなかった。
アルミンは昏く沈んだ表情を俯かせた。また私は……いつも肝心なところで上手く言葉が出ない。上手く動けない。
エレンに存在を否定されたら、私が私でなくなってしまって……身動きが、できない。そんな風に私がうだうだしているから、アルミンの苛立ちを余計に加速させてしまったみたいで……。
アルミンは気まずそうに俯いて、言った。
「エルヴィン団長がこの場にいたら……こんな無様に当たり散らしたりしなかったのにね……。」
その言葉の続きは、私が想像したものなのだろうと思った。
――――だけどそれも、私とエレンが兵長に食らいついた結果の今だ。
それも間違っていたと、言わないで。
アルミンを選んだのは、苦しませるためじゃない。
――――でももう私たちはお互いにアンバランスで……、アルミンは私が恐れたその言葉を、ひどく悲しそうな顔で言った。