第226章 結託②
「九つの巨人の継承を懸けた問題が消えるわけじゃないから……最悪なのは……この巨人の力を巡って争い続けた2000年の歴史を繰り返すことだ……この小さい島の中で。」
これだけのことが起こっているのに、今後のことを考えて……そして最善だと思う行動を即座にとれるアルミンはやっぱり……凄い。
私は何もできない。
一人で考えることも……だって……私が何か行動をしようとするその根源が ”私” の意志によるものじゃなくて……アッカーマンの習性であるだけだと思うと……、私は誰で何をすべきなのかが、見えなくなる。
「コニーに言うよ!!お母さんはひっくり返った巨人のままでもいいんじゃないかって!!」
アルミンは強い意志でそれを口にして、立ち上がった。
「行って来る。」
――――『行こう』とは言ってくれない。
なぜ、私はどうしたらいいの?
わからない。
だって私は私が思っている私じゃ、ないかもしれない。
「アルミン……私はどうしたらいいの?」
「ジャンの手助けをしなよ……少しは自分で考えて……。」
アルミンは私に背を向けたまま、一切振り返らずに扉に手をかけた。
「エレンのこと……どうするの?」
私の零した言葉に、アルミンの中の何かが爆発したようだった。アルミンはこちらに振り向いて、私に詰め寄る。
「わからないよ!!それに……!!どうしようもないだろ?!」
こんなにアルミンが私に声を荒げたことなんてない。
アルミンの目は確かに私に対してウンザリしているような、目だった。アルミンには十分な重責を担わせてきた。それなのにまた私はこういう肝心な時にはアルミンを頼る。
それはアルミンを信用しているから。
そして……今なによりも自分を一番信用できないから。