第19章 不穏
日ごとに寒さが増し、激動の今年が終わろうとしている。
調査兵団は来年の奪還計画に向けて、大きく動き出そうとしていた。特に一般市民の中の戦力にできそうな十五歳~三十歳の健康な男性を中心に、800名弱の人々に立体機動での巨人討伐を半年かけて教え込むそうだ。
中央憲兵で50名、各駐屯兵団8か所にそれぞれ80名、調査兵団に110名弱の一般市民が宛がわれ、半年後に向けてあらゆる訓練をさせていく。
ただ、たかが半年だ。
通常3年の訓練兵時代を過ごしながら習得する内容を全て網羅できるはずがなく、彼らは私と似たメニューで“立体機動装置を使え、巨人の注意を逸らすことができる”レベルを目指すという。項を削ぐところまでを求めるには、あまりにも時間が足りない。
もちろんその指揮はリヴァイ兵士長とハンジさんを中心に練られるが、微力ながら私も立体機動を教えるところでは役に立たせてもらえそうだ。新兵も例外なく、この訓練を教える立場になる。