第226章 結託②
雷槍があれば、無垢の巨人の掃討はそう難しいものではなかった。私たちはただ夢中で、これ以上の死人を出さないために……知ってる顔の巨人のうなじに、雷槍を撃ち込んでは―――――、殺した。
無我夢中で群がる巨人の相手をしながら……視界の隅にいつもあの子がいる。
ルイーゼ。
私に憧れて調査兵団に入ったと言う。
そして自分の信じる道をイェーガー派に見出してフロックの動きに加担していた。――――信じるものはそれぞれ違う。それでいい。
だけど……私はルイーゼが苦手だ。
まるで私をこの上なく高い志で人類の為に戦う兵士だと…信じて疑わない目を向ける。
――――その視線が、なんと言うのだろう……胸やけでもするようで、あまり心地が良くない。また視界の隅で、ルイーゼが雷槍を巨人に放ったものの距離をちゃんととる前に信管が抜けてしまって、爆発を近くで受けた様子が見えた。
身体を庇って受け身を取ったように見えたからきっと大丈夫だ。
――――もしあれがエレンなら。
104期の仲間なら。
私はすぐに駆けつけていただろうに、相変わらず私は――――……冷たい人間だ。
兵団支部の建物の中にはイェレナ達を含めて多くの人間がいたから、無垢の巨人の襲撃を受けて……建物は随分ダメージを受けてしまったけれど……今そこに、生き残った兵士達が集まって来ている。
ジャンがなんとかアーチさんを回収してくれて、兵団支部にあった包帯でその銃創をきつく巻いて止血、処置をした。
そこにはフロックもいて……ふらついた足取りではあるものの、意識も体も問題はなさそうだった。フロックにとっては予定通りのシナリオだということだ。
喜々として目を輝かせて言った。
「くたばるわけにはいかねぇよな、エルディア帝国が復活するって瞬間なのに。」