第226章 結託②
「そんな?!エレンは始祖を掌握したなら……巨人もすべて制御できるはずじゃ……。」
「だが仲間を食ってるだろ……加勢するぞ!!それにマズい、あっちの方向……アーチさんも戦ってるかもしれねぇ……!酷い、怪我なのに……!コニー、ファルコを頼む!俺はアーチさんの様子見て来る!!」
そう言ってジャンはファルコの身柄をコニーに預け、飛び立った。ファルコの身柄を預かったコニーは……何かと葛藤する表情を見せてから、導き出した答えを口にした。
「こいつは、ラガコ村の母ちゃんに食わせる。いいな?」
そうだ……九つの巨人を食えば人に戻る。人に戻したい人は山ほどいるけど……コニーにとっては、もちろんお母さんが一番なんだ。
でも……。
「コニー……、ジークの話によるとその子は戦士候補生で……ライナー達の弟分だ。その子を僕たちが殺すとなれば、ライナーや車力の巨人と新たな争いを生むことになる。……だから……。」
「……俺の母ちゃんはどうでもいいってことか?」
「そういうわけじゃ……。」
コニーが僕の胸元を掴みあげて、激しい剣幕で言った。
――――コニーはずっと……お母さんが巨人化していたことや、半身のように親しかったサシャを失ったこと……色んな事がずっと降り積もっていて、どんな微かな希望でも助けられる身内を助けたいと思うのは当然だ。
――――だけど僕は思う。
兵士でもないただの人が………いきなり九つの巨人の力を与えられて、戦場に駆り出されて多くの命をその手で奪う役目を果たさなければならない。
――――ねぇコニー、お母さんは本当にそんな生き方が嬉しいのかな……?
そう、思ってもそのまま言葉に出せるはずもなく……コニーの言い分を聞くしかなかった。