第226章 結託②
「度が過ぎている……。前代未聞の大虐殺だ……。」
僕達はエレンを何も理解していなかったのか?
エレンがこんな答えを選ぶなんて、僕にはわからなかった。
僕だけじゃない、ミカサも……。
エレンは始祖を取り込んだことで、変わってしまったのだろうか。僕のことを、ベルトルトを取り込んだことで変わってしまったと言ったように……。
シガンシナ区の外壁の巨人が全て南に下って行ったそれに続くように、耐えず巨人が地響きを鳴らしながら敵国マーレの方角へと向かっていく。ウォール・マリアの外壁にいた巨人が何の意志もなくただマーレを目指すなら……シガンシナ区だって踏みつぶされておかしくない位置なのに、まるで僕たちがいるこの場所を避けるように進んで行く。
―――――そこにエレンの、僕たちを守るという意志が見える。
「じゃあ……止めるか?エレンを……。」
ファルコを回収したジャンと、コニーとミカサが集まった建物の屋根の上で……僕たちはこの世が終わる始まりの光景をただ呆然と見ていた。ジャンは外の連中の自業自得だと言う。エレンを止めることに……迷っている顔で小さく呟いてから、続けた。
「エレンは安楽死計画で俺達を虚勢しようとするジークを拒み……始祖の力を維持するためヒストリアを犠牲にすることを拒んだ。つまり……エレンは……俺達を守るために壁外人類を犠牲にした……。この大虐殺の恩恵を受けるのは、俺達だ……。」
――――あの日、鉄道開通に向けた線路の整備をしていた夕暮れ……。エレンが言った『お前らが大事だからだ。他の誰よりも……』その言葉を思い出す。
その時、周りでまた家屋が崩れ落ちる音や爆発音が鳴り始めた。よく見れば、巨人化させられた兵士達が、マーレ兵を食い尽くしたのか……兵団の兵士を襲っている。