第225章 結託
「………悪、い……腕、強く掴んだだろ……大丈夫か……」
「何がですか?全然問題ないです。痛くなくなったなら、また眠れますよ。ほら………おやすみなさい。」
安心していいと、精一杯の笑顔を向けてからリヴァイ兵士長の胸を小さくとんとんすると、素直にまた目を閉じて今度こそ安らかに、寝息を立て始めた。
その様子を見届けてまた、煮立ってしまった水に加水するために川の水を汲みに行く。その次は火を絶やさないようにくべる用の薪を拾いに行かなくちゃ……と、動き回っていると、マガト元帥は白けたような声で呟いた。
「……アッカーマン一族というのは……巨人科学による副産物の血統らしいな。」
「………え……?」
私とは目を合わさず、遠くの方……おそらく故郷マーレを見つながら続けた。
「ユミルの民を使って実験を繰り返し、結果人間の姿形のまま巨人の力を一部引き出すことができるようになった血族。それがアッカーマン一族だそうだ。元々が王を守るために生み出されたもの故に、 ”守るべきもの” を見つけた時にその力が開花すると聞く。」
「……そう、なのですか……。」
謎に包まれていたアッカーマンの秘密。
だから……それなら合点がいく。
常人では考えられない筋力や運動能力、そして今回リヴァイさんを見ていても思う。回復のスピードが尋常じゃない。
そんなことまでマーレでは解明されているのかと驚くと同時に……リヴァイ兵士長が調査兵団でその力を如何なく発揮していたのは……彼にとって絶対的な存在のエルヴィン団長がいたからなのかもしれないと、あの日々の……2人が並んで皆を率いていくその背中の強さを、美しさを……思い出した。