第225章 結託
「弾は避けられない。だがこのザマを敵の前にみすみす晒した。撃つか、聞くか。あんた達次第だ。」
「――――では撃つ前に聞こう。ジークを殺すと言ったが……奴は今どこにいる?」
ハンジさんは推測を話した。
「おそらくは……王家の血を利用するためエレンに取り込まれている。いや……始祖の巨人に。」
そうだ、エレンは一人じゃ始祖の力を使えない。
王家の血筋を引く巨人との接触が無い限り地鳴らしも、ユミルの民の記憶や行動を支配することもできないはずで……だとしたら、あの大きな……骨の体のどこかに、ジークさんを取り込んでいる……?
「巨人博士のハンジさんなら何でも分かるようですね。我々マーレよりも……その始祖の巨人はご覧になられましたか?」
ピークさんは昏い目をさらに細めて言う。
今の一言は、確かに僅かな棘を持っていた。ジークさんは……自分が王家の血筋であることもマーレに隠していたのだろうか……。仲間だと思っていた人にこの人たちもまた大きな裏切りを受けて……大切なものを、無くしたのかもしれない。
「とてつもなくデカくてどうにもならなそうなことはわかってる………だから、我々はやるしかないんだよ。みんなで力を合わせようってヤツを。」
ハンジさんの提案を、一瞬吟味するように2人は黙った。口を開いたのは、マガトさんだ。
「―――そうだな、では力を合わせて頑張りましょう、となるわけがないだろう。お前達は誰が何と言おうと ”パラディ島の悪魔” だ。何を企んでいるかわかったものではない。それに―――……このまま地鳴らしが止まないほうがお前達にとって都合がいいはずだが?」