第225章 結託
「えっあれ?あぁ、ご安心ください。あれは人畜無害な死に損ないと、専属の医師です。」
ハンジさんが私とリヴァイ兵士長の方を指さしたので、私は軽く会釈をした。
害意はないと理解してもらえたのか、対話に応じてくれることになった。私たちの荷台の側までやってきたその時、リヴァイさんが身体を起こそうとする。私はそれを補助しつつ、リヴァイ兵士長にその人物たちの名前を伝えた。
「―――車力の巨人、ピーク・フィンガーと……マーレ軍テオ・マガト隊長……かと。」
「―――ああ、確かそうだ。俺が直接話したい。」
リヴァイ兵士長のあまりに満身創痍な様子を見て驚いたのか、熟練した兵士が持つ独特の眼光を備えた50歳くらいの男性……マガトさんは、リヴァイ兵士長の目前に立った。
リヴァイ兵士長は何の前置きもなく、これ以上なく簡潔に要点を伝えた。
「俺の目的は……ジークを殺すことだ。あんた達とは利害が一致する。テオ・マガト。ピーク・フィンガー。」
彼らは私たちが信じるに値するかどうかを、見極めようとしていた。
「リヴァイ・アッカーマン。九つの巨人に引けを取らない強さを持つらしいが――――」
マガトさんは、手にしていた銃を私たちに見せるように掲げた。――――威嚇と脅迫のつもりか、試しているのか。
私は僅かに眉を顰めた。
「……そのザマでどうやって俺の弾丸を避けるつもりだ?」
銃口をリヴァイ兵士長に向けた。私は思わず庇うように手を広げてリヴァイ兵士長の前に身を乗り出して、抗う意志を込めてマガトさんを睨んだ。
撃たせない。
―――絶対に私が守る。
けれど威嚇の目を向ける私の肩に、リヴァイ兵士長の手が触れた。
「――――ナナ、いい。大丈夫だ。下がれ。」
徹底して無抵抗の意を見せた方が良かったのかもしれないと、リヴァイ兵士長の言葉を聞いて思う。
――――でも、どうしても……ハンジさんとリヴァイさん……この二人に銃を向ける人に、私は無抵抗でいられなかった。
「………っ……はい……。」
俯いてリヴァイ兵士長の脇に控えるように下がると、リヴァイ兵士長は続けた。