第225章 結託
しばらく3人で並んで、巨人が過行くのを呆然と眺めていた。
するとその時遠目に、シガンシナ区から逃げてきたのであろう、四足歩行の巨人の大きな身体を見つけた。
――――四足歩行、あれが……車力の巨人?
「ハンジさん!マーレの……っ……四足歩行の巨人が、近付いてきます……!」
―――逃げるか、戦うか。
私にはその二択だった。
思わず身構えたのだけれど、ハンジさんはやっぱり斜め上をいくことを言った。
「よし。世界を救うために協力してくれって、頼んでみよう。」
「えっ。」
「きっとわかりあえるよ。私が行くから、ナナはリヴァイの側に。」
「……はい!」
そうだ、敵も味方もなく協力者を集めようと言っていた。
でも実際にさっきまでこの人たちは……シガンシナ区で私たちを殺そうとしていたわけなので……やっぱり少し、怖気づいてしまう。
それなのにハンジさんは明るく、車力の巨人ともう1人帯同していた男性に声をかけた。
やっぱり敵わないなぁと思う。
「あの――――」
ハンジさんの声に気付いた車力の巨人は身をひるがえして、迎え撃つ姿勢で威嚇をした。ハンジさんはそれに臆することもなく、対話を持ちかけた。
「ちょっと待って!!とりあえず食べないで!!こちらには何の武器もありません!!」
「――――嘘は感心しないですね。それならあの荷台にいるのは、どこの誰ですか。」
車力の巨人の項から覗かせた人型の本体を見て驚いた。
――――か弱い女性だったから。
その黒髪の女性は確か……エレンが潜入していた時の情報を書き残していたメモの中にあった。車力の巨人継承者、ピーク・フィンガー。そして……2人の間の意思決定は、男性の方がしているように見える。だとしたらこの人は……マーレ軍の指揮官だ。
特に9つの巨人の継承者と関わりを強く持っている、キレ者で冷静で厄介な軍人、テオ・マガト……。
ピークさんとマガトさんは疑り深い目線を私たちに向けた。