第224章 地鳴
「………どこまでもくだらねぇな、俺は………。」
そう呟いてそのうだうだと情けない思考回路を断ち切る。とにかく……顎の巨人を継承したあのガキを、確保しないと。そこに立体機動で近付いてきたジャンに向かって声をかけた。
「――――ジャン!!ガキを回収しろ!!」
「はい!!」
俺がブレードでガキの方を指すと、ジャンは理解したようだった。悪いが……人ひとり抱えて飛べるような力は残っていそうにない。
俺は……エレンを守るための刃くらいには、なれるかもしれない。エレンの方へと飛んだそのまさに真下を、走り抜ける人間の姿のエレンがいた。
硬質化した巨人の体で鎧の動きを封じて、抜け出したのか。
だけど鎧も意地を見せて、硬質化をもろともせず無理矢理その拘束を解いて、エレンに手を伸ばした。俺はその手を、指を、力を振り絞ってバラバラに切り裂く。と同時にコニーがすぐ側で、鎧のこめかみに向かって雷槍を撃ち込んだ。
「ッ助かった、コニー……!」
「いえ!」
ガキも確保した、鎧の手も阻んだ。
車力はミカサとアルミンでやれる。
これでエレンとジークを…脅威から守ったと言えるだろう。
そう、一瞬ホッとした。
その目線の先にはライフルを構えたガキがいた。
―――――サシャを殺したあいつだ。
……そのガキの放った凶弾は、エレンの頭を吹っ飛ばした。
また、俺の仲間を殺す気か?
その時、俺の中に確かな殺意が沸いた。
――――でも俺が見たそのガキもまた……苦しそうに涙を流していて……殺したいわけじゃない、ただ大切なものを守るために、その方法しかなかったんだと理解した。
――――俺達は一体、誰のために、何を信じて戦っているのか……見失いそうに、なる。
そんな中ゆっくりと落ちていくエレンの頭を、ジークにも意地があったのだろう、ジークは受け止めた。
そして禁忌の何かが開くように、周りの壁が崩壊し始めて………そこから現れたのは、数百、いや数千、いや、それ以上もの……超大型の巨人たち。
―――――始まったんだ。世界の、終わりが。