第224章 地鳴
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ジャンが起してくれて、助かった。
このままじゃ終われない。
俺はふらふらと立ち上がって、霞む視界の中でなんとかトリガーを引いた。
――――だいぶ血が流れたな。
判断力が鈍るだろう。
でも、何か一つくらい、俺にだってやれるはずだ。
そう信じて……まだあと僅かでもあいつらの力になれるはずだと信じてエレンとジークの元へ急ぐ。
アルミンやミカサは車力を狙ってる。
ジークとエレンの接触を支援する意志があるってことだ。――――ジークの思惑はどうあれ、このままエレンもジークも殺されてしまえばあとは……この島は世界からの集中砲火を受けて終わる、それだけだ。
だから阻止する。
エレンを、なんとしても守らないと。
俺が立体機動でエレンと鎧が揉み合う現場まで駆けつけると……そこで見た光景に俺は一瞬、目を止めた。
「――――顎の巨人……。」
顎の巨人はエレンに叩き潰されたのか、蒸気を上げながらその強靭だったはずの肉体が消えかかっている。死んだのか。
――――なんだろうな。
敵、だったんだが。
確かに敵だったんだが……、もっと、違う出会い方をしていたら、俺はあいつともっと話してみたかったんだ。
ガリアード……。
そう、よくわからない想いを持て余しながらその顎の巨人の骸を眺めていた。するとその蒸気の中から、血に塗れた薔薇の紋章を背負った男が、ふらりとおぼつかない足取りで出て来た。
「!!」
その姿は、顔の半分を叩き潰されてもう修復もままならないのであろう、ガリアードだ。