第224章 地鳴
黙りこくった俺達を鼓舞するように、アルミンが声を張る。
何か策略あってのことだろう。
「……残念だけど仕方が無い!!ジークとエレンが世界を救うためだ!!僕たちもイェーガー派に加わり2人の接触を支援しよう!!」
――――心臓が凍るかと思った。
兵長よりもおっかねぇ。
力説するアルミンを背後から穴が開くほど凝視しているイェレナの顔は、常軌を逸していた。
が、途端に怖いほどの変わり身で笑顔を湛えて、俺達を信じていると言いやがる。
――――俺は正直、このイェレナって女が怖い……。
俺たちはその場を飛び立って、とにかくエレンの元に援護に向かう。が、マーレ兵がどこかしこから銃撃してくることもあって全く迂闊に近づけねぇ。
銃弾が飛び交う中、俺は少し離れたその場所……建物の屋根に横たわる、深緑の自由の翼を配したマントを見つけた。
「っあれ……まさか……!」
「オイ、ジャン!?」
「……っ悪い、ちょっと外す!!」
動かずにいられなかった。
横たわっていて見えにくいが、多分あれは……アーチさんだ。銃弾の打ち止む合間に民家の間をぬうようにしてアーチさんの元へ急ぐ。
もちろんアーチさんのことが心配で、ってのもある。
だけど……アーチさんは拘留班だった。
そのアーチさんがここにいるってことはやっぱり……。
兵長達がどうなったのか、それは俺たちにとって重要なことだ。なんとしても状況を把握したかった。
「アーチさん!!」
横たわって目を閉じているアーチさんの脈をとる。
動いてる。
生きてる。
肩を撃たれたのか、出血がひどい。
止血を試みた途中で意識が絶えたか。
そこに落ちていた布をしっかりと傷口に当てて、圧迫する。
――――痛みがあったのか、アーチさんが目を微かに開いた。
「………う………。」