第224章 地鳴
俺達が牢屋を出て、立体機動装置を装備して外に出たその時、足元に大きな影が映った。見上げるとそこには黒煙を上げながら墜落していく飛行船。
なんだ、マーレの飛行船が撃墜されたのか?
あんな高度にまで届くような銃器はこのパラディ島には無いはずだ。
ぞわ、と嫌な予感がした時、コニーが俺を呼んだ。
「おいジャン!!見ろ!!壁門の……上……あれ、獣じゃねぇのか……?」
「!!!」
その通りだ。
そこには確かに壁門の上から振りかぶって得意の投石を食らわせるジークの姿があった。
奴が狙っているのは……巨人化したエレンとやり合うライナーだ。その驚くべきコントロールで、ライナーの巨体にまるでライフルでも浴びせているかのように穴を開けていく。
「……奴らに俺達の助け必要あるか?」
その圧倒的な巨人同士の桁外れの戦闘に、コニーが呟く。
俺もそう、思う……。
でもなによりだ、なんで……あいつがここにいるんだよ。
拘留地で拘束されているはずだ。
兵長と……サッシュ隊長、アーチさんも……ついてたはずなのに。そうだそれに、リヴァイ兵長たちのところへハンジさんがフロックたちを案内したはずだ。調査兵団の中でも指折りの戦闘力を持つ人たちが揃っていたはずなのに……何で……。
「何で……ジークがここに……?!リヴァイ兵長が奴に自由を与えるはずがねぇ……。」
兵団支部の屋上で言葉通り高みの見物をしているイェレナの後ろ姿に、イラつく。
俺はイェレナに詰め寄った。
「おいイェレナ!!兵長とハンジさんはどうなった?!」
「ジークに敗れたと見るのが妥当でしょう。彼はエレンとの約束通りの時間に約束の場所に現れました。」
「――――……まさか……。」
兵長が、ハンジさんが……サッシュさんが、死んだ……?
嘘だろ……そんなことあるはずない。
だってそうだとしたら……もう、俺達に望みは――――……。