第223章 闘志
再び俺とガリアードは間合いを取って、数秒、お互いの腹を探り合う時が流れた。
ガリアードの発達した腿の筋肉が収縮する。
―――――来る。
その瞬間に俺も立体機動装置のトリガーを引く。
その瞬間、遠くで戦り合っていたエレンと鎧に動きがあった。鎧の顔面をエレンが強烈に蹴り、鎧の一部の硬質化が剥がされながら後ろに吹っ飛んだ。
ガリアードはそれを見て僅かに苦い顔をしてから、俺にちらりと目をやった。
”悪いが、遊んでる暇はなさそうだ。”
「――――おい、待てよ!!」
ガリアードはその脚力を、俺と戦り合う為じゃなく、この場から離脱し鎧の援護に向かうことに使った。
俺はその後を追い、すげぇ勢いで街中を進むガリアードの足の腱を数か所、削いだ。
「止まれ!!!っくそ!!」
俺に見向きもせず、斬り込まれても振り返ることすらせず、まっすぐにエレンの方へと駆ける。
一向に速度を落とさない。
その勢いのまま顎の巨人はエレンの背後に突っ込み、その項を直接かみ砕こうと狙ったが―――――、エレンの背から出現した硬質化の槍に寄って、その攻撃は阻まれたように見えた。しかし顎の巨人の強靭な爪で、それらは払い除けられる。
「――――エレン!!!!」
エレンの目前には鎧。
背後から顎。
ヤバいだろ……さすがに。
死んでも、微力でも無力でも何か……俺に、出来ることは……!そう思った瞬間、エレンは地中から無数の硬質化の槍を出現させて、顎と鎧を貫いた。
―――――戦鎚の力を、完璧に使いこなしてやがる。
「はは……っ……人間の出る幕じゃねぇな……。」
その時、無数の兵士の影が見えた。
ようやく来たか。
ふと空を見上げると、空に舞う雷槍を装備した無数の兵士。
だがそこにミカサやアルミンの姿はないように見えた。
「今だ!!顎と鎧を仕留めろ!!!」