第223章 闘志
「―――あの人、意外に強いから……なんとか逃げてる、きっと大丈夫……。」
ぼそりと呟いて、平常心を取り戻そうと試みる。
そんな時、何かあったのか……バタバタと兵士達が駆けまわり始めた。
「敵が侵入している!」
その言葉にギクッと一瞬肩が震えた。
そして俺の目線の先にいる一人の兵士に違和感を覚えた。
――――俺と、同じ反応をしたからだ。
そいつの背に追われているのは駐屯兵団の薔薇の紋章。
……駐屯兵団にもイェーガー派はいてもおかしくはないが……。俺はその男を注視していた。そんな俺の横を幾人もの兵士が通り過ぎていく。俺を探しているわけでは、無いらしい。
「一人殺された!」
「誰が?!」
「知らん!!」
「―――車力の巨人の保有者だ!!!」
その言葉に、目を見開いた。
――――車力の巨人?海の向こうから……もう、こんな内部まで入り込んでいやがったか。
「だが、マーレを裏切ったらしいぞ!」
「なんだと?!」
「イェーガー氏がそう言ってる……。」