第222章 愛憐②
「――――サッシュさんがサッシュさんの意志で、私のところへリヴァイさんを返してくれたんだと思います。――――ううん。きっと、そうなんです。だから謝らないでください。帰ってきてくれて、ありがとう……。」
「―――――……。」
「だってあなたが帰って来なければ私が――――……死んじゃってたかも、しれ……ません……。」
――――生かされたのは罪か。
守れなかったことは罪か。
違う。
だからこれ以上背負わないで欲しい。
背負ってしまうのなら、一緒に私も。
「あなたがもし自分を責めるのなら……、あなたの帰りを喜ぶ私も同罪です。一緒に背負って最期まで戦う。だから、早く……治しましょう。」
リヴァイさんはゆっくりと右手を動かして、指の欠けた手で私の頭をくしゃ、と撫でた。
「ああ――――……そうだな。」
リヴァイさんはそう言って目を閉じた。
その閉じた瞼の裏で……あなたは何を思っているのだろう。
いつか全て終わって少し、穏やかな気持ちになれる日が来たら……青空の下で紅茶を並べて……話して欲しい。あなたが何を見て、何を思っていたのか。
とにかく今は回復することを一番に考えなくては。
「本当は少しだけでも、何か食べたほうがいいと思うのですが……体を修復するためのエネルギーを補充しないと……。」
「………少しなら、食える……。」
「本当ですか?」
本当にアッカーマンという血筋の力はなんなのだろう。
まるで巨人並の修復力だと言っても過言じゃない。
だから……あんなに鼓動が早くて、強いのだろうか。高い体温も、そのせいなのかな。そんなことを考えながら、兵糧を少し手で割ってみる。バキ、と小さく欠片にはできたものの、とても硬すぎて……今のリヴァイさんがこれを咀嚼して食べられる気が、しない。
だとすると、かみ砕いて……柔らかく、するしか……。
でも……リヴァイさんは嫌がる、かな……。と一瞬躊躇うけれど、そんなことを言ってる場合じゃない。