第221章 愛憐
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しばらく歌って髪を撫でていると、心なしか、リヴァイさんの荒い呼吸が少し落ち着いて……幾分安らかな寝息に変わったように見えた。
眉間の皺がとれた顔で眠る彼の姿を見ていたら……魔がさした、とでも言うのだろうか。
伏せられた長い睫毛が綺麗で……、触れたく、なってしまう。
「――――リヴァイさん……。」
もちろんリヴァイさんは眠っている。
でも、もしかしたら聞こえているかもしれないから。
心の奥から溢れ出るような言葉を、小さく呟く。
「――――ほんの、少しだけ……。あなたに触れたい……。」
そうだいつか……キスをねだって、『ダメだ』と拒否されて落ち込んだことがあった。なのに数分後にはリヴァイさんから蕩けるようなキスをしてきて、なんて我儘で気まぐれなんだろうと頬を膨らませた。
……懐かしいな。
そんなことを思い返しながら、少しかがんで……彼の唇に、触れるだけのキスをする。
その唇は冷たくて、少し……血の味がした。
愛してるなんて言葉じゃ、足りない。
……あなたの姿が、声が、仕草が……呼吸の一つ一つですら、私の胸の奥を灼きつくしてしまう。
「――――あなたとなら、何も怖くないんです。一緒がいい。最期まで。」