第221章 愛憐
これまでのことが一気に、頭の中に蘇る。
エレンを命を懸けて守って、それが希望だと信じて多大なる犠牲を払ってきたのに……結果、エレンが私たちには理解の及ばない行動に出始めた。
だからもう、見捨てて……エレンを一人悪にしてしまって傍観することだってできるのに。
あなたは最後までエレンを見届けて、けじめをつけようとしてくれる。
――――それはエレンを、仲間だと……大事だと、思ってくれているからなんでしょう?
それは厳しさと、とてもわかりにくい愛情と優しさだ。
「――――………。」
俯いた私の手に、不意に包帯でぐるぐる巻きの手が重ねられた。
「――――ありがとう………、リヴァイ、さん、ハンジさん……。」
そう言ってまた言葉を詰まらせて俯いた私の背中を、ハンジさんはそっと撫でてくれた。
「さて、そうと決まれば仲間集めだね!敵とか味方とかもう言ってらんないよ。片っ端から集めなきゃね。」
「……はい……!」
「明日の朝にはここを発つ。私はもう少し物資を探して、荷台を完成させるから。ナナはリヴァイの側についてて。」
当たり前のようにハンジさんは立ち上がり、私の頭をぽんぽんと撫でてまた、動こうとする。
私はハンジさんの手を掴んで止め、ハンジさんを見上げて交替を申し出た。
「交替しましょう?ハンジさん。私は休ませてもらったので、今度はハンジさんが休んでください。役に立ちそうなものを集めるのは、私が。」
ハンジさんは柔く少しだけ笑うと、首を横に振った。