第220章 覚醒
「――――……ナナ……。」
「?!リヴァイさん……?!」
思わず飛び起きて、その顔を食い入るように見つめる。
けど、目は開かないままだ。
まだ眠っている。
人差し指と中指が失われた右手をそっととって、慈しむように大切に、両手で包む。
「……あなたは……夢の中でも私の側にいてくれているんですね。」
寝言かうわ言かわからない。
あなたの夢の中の私は、また呆れられるようなことでもしているのか、心配でもかけているのか……。もしかしたら、とてもとても幸せな夢を見ているかもしれない。
だとしたら、そこにいる方が幸せなのか。
――――だって起きたら彼はまた、こんな体なのに……きっと、戦ってしまう。
守ろうとしてしまう。
でも、その目を開いてまた私を呼んで欲しい。
それは私の我儘なのかもしれない。
昼間よりも随分落ち着いた頭で考えながら、小さくリヴァイさんに問う。
「ねぇ、リヴァイさんはどうしたいですか……?もしそこが幸せで、もうずっとそこにいたいなら……私は……あなたが幸せな夢を見られるように、ずっと側で体温を分けてあげる……。ただ側に……いるよ……。待ち続けて、見守り続けてくれた時間を、今度は私が返すから……。」
もう戦わなくていい。
そう、言いたい。
でも……守ることがあなたの生きる意味だということも知っているから言えなくて、狡い言い方でこの戦線から離脱すればいいと促すようなことをほんの小さな声で呟いた。
それは私の本音だった。
世界が敵だと知って……想像すらできないような強大な敵、世界と戦うことになるとわかったとき、リヴァイさんが私を遠ざけたかったあの心情が今、すごく理解できる。