第219章 影
だが俺にはそれも見えていた。
―――――来てくれると思った。
俺の横をすり抜けて、雷槍が鎧の手に突き刺さる。激しい爆音と共に背後で爆ぜたそこには、ジャンとコニーの姿があった。
あれだけ勝手をしたのに……いつもいつも俺を助けちまう……お前らは本当に、お人好しだよ。
鎧に阻まれることなく、ジークとの距離を詰める。
――――あと、数m。
「来いエレン!!!」
ジークが地に伏せたまま手を伸ばす。
今度こそ、終わらせる。
その一瞬は永遠のように見えた。
俺の真横、約15mの場所から、涙を流しながら俺に対巨人用ライフルを構えるガビの姿を目に捕らえた。
一瞬見たそのガビの表情は、もう何が正義で何が悪かもわからないと、残酷なこの世の真実を突き付けられた、まるで数年前の俺と同じ表情をしていたように思う。
だが何かを強く決意して、ガビは自分の意志で、その引き金を引いた。
爆ぜたような音と大きな衝撃と―――――、回転する視界。
俺は首を撃ち抜かれて、胴体から頭が離れたのだろう。
少し遠くに頭のない自分の体が見えた。