第218章 再戦
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「――――来たか。」
馬を走らせながら、ジークさんは空を仰いで呟いた。
「え?」
その言葉の意味を問いかけてすぐに、気付いた。
まだ遠いが……その空には、飛行船が5隻。
――――マーレだ。
「なっ……!マーレが攻めてきた……?!」
「フロックさん、急がないと……!上空から爆弾なんて降らされたら……!」
「そう、だな……。」
「思ったより早かったな。まだレベリオの痛手も引きずっているだろうに……、パラディ島の皆さんがそれで猶予を手に入れたと思ったそこに攻め込む……か。この捨て身でも結果を出そうとするのは……ライナーの提案かな。」
いつまで経ってもこの人は飄々とした表情を崩さない。
まぁそうか……こいつにとってこの島の人間が何人死んだところで痛くも痒くも無い。……だからあんな風に、非常に殺せたんだろ?まるで弄ぶみたいに。
俺の頭の中にこびりついて離れないあの悪夢の瞬間がまた思い起こされる。
―――そう言えば……攻め込まれる前に、ここから獣の巨人がここから投石してあの飛行船を撃墜してしまえば済む話じゃないのか。
「……なぁジークさん。このまま飛行船にシガンシナ区まで辿り着かれたら厄介だ。今ここで巨人化して……撃墜できないんですか。」
「……リヴァイのせいで、今俺にはほぼ力が残ってなくてね。こうやって馬に跨っているだけで精いっぱいだ。……それに……エレンと待ち合わせのシガンシナ区に、絶対にマーレの巨人の戦士が潜んでる。そこにとっておきたいかな。大丈夫、移動中に回復するって。ちゃんと。」
「…………。」
役立たずめ……と零しそうになったが、なんとか口を噤んだ。
「さぁそれより急ごうか。弟との約束に遅れちゃまずいだろ。」
「…………。」
こうして俺達はまた、馬を駆った。