第218章 再戦
「重大な軍機違反のツケを払うのは、あんただけじゃなく収容区の家族も一緒だ。」
俺の言葉に、ピークはあっさりと両手を上げて降参の構えを見せた。
「はい、撃てません。あなたを食べることも本当無理があると思うし。」
あっさりと引き下がったのにはわけがあった。
――――ピークは……マーレを倒すために俺と組みたいと、言った。その言葉を信じるための条件は、同じようにしてこの壁内に侵入したマーレ兵の居場所を俺に教えること。
兵団支部の屋上から、潜伏先を指さして教えることができると言う。
――――胡散臭ぇことこの上ないが……、こいつがガビを大事にしていることは嘘じゃなさそうだった。ピークが巨人化することができないよう、ガビとピークを手錠で繋ぐ。ピークがそのまま巨人化すれば、ガビはその影響で吹っ飛ぶ。僅かでも抑止力になるだろう。
兵団支部の屋上は広く、このシガンシナ区の建物の中では最も高い。そして区の中央付近に位置しているから、残党がどこに潜んでいるのかを暴くのにはちょうどいい。
……まぁそう素直に……こっち側に寝返るようなタイプとも思えねぇが。俺は指先に傷を作って、いつでも巨人化できる状態でピークを屋上の淵に立たせた。
ピークはまるで怯える様子も、戸惑う様子も見せずに俺の方を振り返った。
さすが戦士と言ったところか……肝が座った女だ。